横山さんにQ&A Part 2

横山さんに皆さんから寄せられた質問に答えてもらうコーナー「横山さんにQ&A」というコーナーのPart2です。
Part1 Part2 Part3 Part4 Part5
Q50 横山さんのリサイタルが近くでないかと心待ちしているのですがなかなかいらっしゃいません。(私は京都に住
んでいます)リサイタルの会場はどうやって決まるのですか?
年に1度しか来ないアーティストもいれば、ひと月に1度来るアーティストもいるのですが。
A50 事務局より:演奏会や会場の決定は、所属事務所とその演奏会の主催者の打ち合わせ等により決まります。アーティ
スト自身は決定した演奏会に出演し演奏するのが役目であって、会場を決めたりする事は残念ながら出来ません。で
も、みなさんファンの声や要望が強くあれば、事務所や主催も今以上に考えてくれることと思います。ラヴコールよ
ろしくお願いします。
Q49 中1の娘がショパンの幻想即興曲をやっているのですが(勉強にと横山さんのCDを聴いています)、流れに乗
りながらも一音一音響く良い音がなかなか出せません。それと腕や肩に余分な力が入ってfやffの音量もいまひとつ
足りません。PPからffまでよく響く豊かな音にするのには、どんな練習をしたらよいでしょうか?
A49 子供のうちにいろいろな曲を聴いたり弾いたりすることはとても必要なことですが、余分な力が入るということは
、弾き方に問題があるかもしくは体が小さいかどちらかでしょう。変なクセがつく前に正しい弾き方をマスターする
ことが理想です。そういったことを先生にうまく教えてもらえるといいのですが…。もう一つの方法としては、いろ
いろなピアニストの演奏を、演奏会やテレビで見たり聴いたりして、どういう力の使い方をしているのか頭の中でイ
メージトレーニングしてみるのも良いでしょう。
Q48 新譜の発売はいつですか?楽しみにしています。
A48 事務局より:5月24日にソニー・クラシカルより「横山幸雄/ベートーヴェン12会」が12枚組の税込価格19,950
円で発売されます。これは昨年行われたベートーヴェン12会公演(文部大臣芸術選奨新人賞受賞)のライブ録音で全
44曲完全収録です。只今、事務局では予約受付中。予約特典として6月10日サントリー大ホールのベートーヴェン・
リサイタルにご招待いたします。どうぞお楽しみに!
Q47 トロンボーンの伴奏を引き受けているのですが、社会人のためなかなか思うように弾けるようになりません。短
時間で効率の良い練習方法があったら教えてください。
A47 普段どのように練習しているのかわかりませんが、例えば朝起きて1回楽譜を眺めたり、通勤の電車の中とか、一
日の中で何回か曲のことを思い出す時間があれば、1度やったことの復習にもなるし、身につくのも早いと思います
。それと同時に短時間で効率よくやるには、自分の欠点がどこにあるのか、そういったことを考えながら頭を使って
練習することが必要でしょう。
Q46 中指、薬指、小指の独立した動きが出来なくて困っています。どうにかして弾こうとすると、腕などに力が入っ
てしまいます。どうしたらよいですか?
A46 そもそも中指、薬指、小指は弱いもので、ショパンの言葉にあるようにその指の特徴を生かした演奏が出来ること
が究極の理想ですけれども、ある程度の動きは、もちろん訓練をしなければ必要な動きの妨げになるでしょう。どう
いう訓練をしたらいいのかというのは、技術に関してのいろいろな本を読んだり、良い先生について毎日努力をすれ
ば、それなりの意味は出ると思います。
Q45 「ワインの練習」の中で、“聴衆の反応を見て即興的に何かを提示することができる”と
いう一説があったのです が、例えば聴衆のどのような反応を見て、どういうことを提示する
のでしょうか?
言葉でどうこう言える問題ではないのかも知れませんが。
A45 例えば、お客さんがわりと静かであれば、うまく曲に乗れるように よりリズム感を強く感じてみたり、 少しテンポがエキサイトしてみたりということがあります。
けれども、本来この意味は、そういう言葉を越えた音楽を通しての、演奏家と聴衆のコミュニケーションそのもののことなので、こうだったら必ずこうするというような 決め事はないです。
Q44 以前、モーツァルトのソナタを弾いたとき、先生から、モーツァルトらしい音で弾けと注
意を受けました。
その作曲家らしい音というのは、どういうことなのでしょうか?
その作曲家の人生や、当時のピアノの構造などから考えればよいのでしょうか?
A44 その作曲家らしい音というのは、その作曲家が生きていた時代の楽器、モーツァルトで
あれば現代ピアノとは まったく違った音になり、例えばその当時の人の感覚として、電車の通る雑音や車の騒音な
どの 電気的ノイズなどは、聞いたことがない感覚で音を聴いていたわけですから、当時と同じ音
を出したとしても、人間の感覚では、捉え方がたぶん違うと思います。それと同時に、音楽でいう音・音色は、
それだけを独立して考えるものではなく、 指使いや、フレージング、ハーモニー感、そういうことをトータルに考えたときの音楽のスタイル感が、音の印象に密接につながっているので、 そういった方面からの勉強もしてみてください。
Q43 コンクールやオーディションにおいて、一緒に受ける人達(つまりライバル)から演奏する直前、言葉による嫌が らせを受け、精神的に参ってしまい ボロボロの演奏をしたことがあります。
こういったことがあることは知っていましたが、実際されてみると 気持ちのコントロールが出来なくなり、ひどい状態での演奏にってしまいました。
横山さんには、こういった経験がおありですか?また、そんなとき、どう乗り切ったらよいでしょうか?
A43 基本的に、僕はあまり人から影響を受けないので、こういった経験はありません。
それに、仮に相手が嫌がらせのつもりであったとしても、それをあまり嫌がらせとは感じない性格なので。
もし、そういうことをされたときには相手はそれほどまでに プレッシャーがかかっているのだ
と思って、逆に自信を持ってしまえばいいのではないでしょうか。
Q42 最近飲まれたワインで、印象に残っているワインはありますか?
A42 1本1本のワイン、その全てに思い入れがあります。ワインの生産された場所を思い出したり、そのワインが造ら れた年にあった出来事などを、思い起こしながら飲んでいます。
Q41 Q&A の コーナーで ショパンソナタ第三番第一楽章についての質問がありました が、
私は第四楽章がとても好きです。
先日アプリコで横山さんの演奏を聴きましたが、以前購入した横山さんのCDの演奏 よりも
迫力があってとても感動しました。
この曲を弾くときどんなことを念頭において演奏されてますか?
また CDに録音したときと現在で解釈がかわったとかありますでしょうか?
A41 ショパンの3番のソナタというのは、晩年のショパンが、最後の力を振り絞って 書いた
曲で、特に終楽章にはその力を感じます。
この曲に対する僕の解釈や感じ方が、レコーディング当時と大きく変わっているとは 思えま
せんが、 表現の方法は年齢と共に変わってきているかもしれません。
Q40 演奏する時、どのように感情移入すればよいのかいまいちわかりません。
横山さんは、演奏する時、どのようなことを考えているのですか?
好きな場所や人、それとも想い出などいろいろイメージをふくらませているのでしょうか。
なにか良いアドバイスがありましたらよろしくお願いします。
A40 極端にいえば、自分の勝手な感情を曲の中に込める必要は本来ありません。
僕自身は、何かイメージを想像させながら演奏することはありません。
それは聴いてる人がそれぞれに想像できればよいことであって、それを演奏者の イメージとして押しつけることはしません。
作曲家が、こう考えたであろう、こう感じたであろうことは、もちろん念頭において弾きます。
楽譜とその作曲家の生活背景から読みとれる曲のイメージを、伝えてゆくのであり、 そこに勝手な感情移入をしていては、冷静に自分をコントロールすることは不可能でしょう。
Q39 12/13の宝塚ベガホールで初めて横山さんのリサイタルをききました。すごく汗 をおか
きになるんですね!
一回の公演で3キロやせる、といったテノール歌手を知っていますがピアニストはどうです
か? やっぱり体重減りますか?(馬鹿な質問ですみません)
A39 もし月に1回しか演奏会をしないのであれば、それは3キロでも痩せること があるのか
も知れませんが、何回か行うのであれば、その都度3キロずつ減って いくことはありません
し、いくら肉体的にハードな仕事とはいっても、マラソン 選手のようなわけでもありません。
それと、演奏する曲にもよります。例えば、モーツァルトのソナタとラフマニノフのコンチェルト
を弾くのでは、消費する カロリーも違えば、気を遣うば事柄も違うので一概には言えませ
ん。
Q38 先生の音は、大きなホールでピアニッシモでも隅々まで響きわたってため息ものなの
ですが、  一歩でも近づくにはどうしたらいいですか?
それと、ホールの大きさ等による響きの違いにどう演奏を対応させたらいいのですか?
A38 簡単にいえば、きちんと調整された楽器でどこにも無理のない打鍵をすれば、
ピアニッシモでも大きなホールでちゃんと響きわたるはずですが、どういう楽器がきちんとし
た楽器かそうでないかは、 ここでは簡単には説明できませんし、どういうタッチが合理的か
ということも、簡単には説明できません。 もうひとつ大事なことは、常に自分の耳で会場に
響きわたっているであろう音を、聴き取りながら演奏することです。
また、ホールの大きさによる違いによる響きの差は、意識的に対応するというより、耳で聴き
取りながら無意識に変えることです。全ては耳によるコン トロールです。
Q37 今度試験でショパンを弾くのでショパンについての本を読んでいます。先生が参考にさ
れた文献を教えていただけませんか?
A37 いろいろ読みましたが、特にお薦めな本として「弟子からみたショパン」。これはかなり参考になったと思っています。
Q36 小学3年男子の母です。今、ラフマニノフのWRポルカを弾いています。9歳の現時点
で、音楽面において何を最優先すべきでしょうか。
A36 9歳の現時点で大事と思われることはふたつ。まずは現在自分が感じている音楽を、
無理な形ではなく自然に表現できるようにすること。
それから良い音楽をできるだけたくさん聴いて、自分自身が感じる音楽の質を高めてゆくこ
と。そのふたつの点に気をつけるといいと思います。
Q35 指が弱いので、調律師に頼んで鍵盤を重くしてもらいましたが、他のピアノで弾いたら
音が乱暴になった気がします。
こういった方法はしないほうがいいのでしょうか。加えて色々なピアノの個性にすばやく対応
するにはどうしたらいいのでしょうか、教えてください。
A35 指が弱いことで鍵盤を重くするのは確かに訓練のひとつの方法かもしれませんが、指
をこわしたり他のピアノに対 応できないなどの難点もあるかもしれません。一概に悪いとはいえませんが、特にお薦め
の方法とは思いません。 指の訓練でしたら、自分の指の何がどう弱いのかをよく知ることが大事で、それががわかればテーブルの上でもできることです。
また、いろいろなピアノの個性に対応するには、一番良い状態のピアノを知ることです。
そしてそれと比べる とこのピアノはどこがどうなっているのか、その構造を勉強すれば対応も自然とできてくるのではないでしょうか。
Q34 ショパンの曲の装飾音は同時に弾くのか、拍の前で弾くのかわかりません。ある著名なピアニストの方には 「同時に弾かなければならない」と言われましたが、それはショパンの装飾音を弾くときの「定義」でしょうか、それとも「一学説」でしょうか?
A34 ショパンの装飾音は基本的に拍と同時に弾くものです。これはショパン自身がそう言っていることです。
ただ、場合によっては例外もあり得ます。もちろんピアニストでもそれにあてはまらない演奏をしていることもあります。
装飾音は確かに拍の頭で弾く必要がありますが、それはいかなる場合でもという絶対的なものではないと思います。
Q33 25年くらいたっているグランドピアノは買っていいと思われますか?
メーカーはヤマハで趣味で弾いていたそうです。年数がたっているので心配です、アドバイスをお願いします。
A33 年数がたっているピアノでも保管状態が良ければ充分に使えると思います。趣味で弾いていたか、 プロフェッショナルで弾いていたかはあまり問題ではなく、どういう環境(湿度・温度)であったのかが問題です。それらの状況
がわからないので一概にはいえませんが、特に湿度が多い場所で保管されていたのならやめておいた方がいいと思います。
ただ、値段が安ければこういうものもお買い得なのでは?ともいえます。
Q32 私はショパンのピアノ・ソナタ3番が素晴らしいと思いますが、第1楽章の途中に出てく
るハミングのような フレーズがありますが、これの意味は何ですか? ショパンの生涯の苦悩の作品は何でしょう?
またそれは何故ですか?
A32 ハミングのようなフレーズとはどこのことを指しているのかよくわかりませんが、たぶん第2主題のことではないでしょうか。
音楽分析的な意味では、第1主題の雄壮な雰囲気と対極にあるのが第2主題です。これ以上音楽的な意味を言葉に置き換えることはできませんし、 ショパンの音楽は情景描写や感情描写ではないので、言葉で説明するのは不可能だと思います。
生涯の苦悩の作品はこの曲です、という明解な答えはできませんが、ショパンは自分自身の病気のことであるとか、
ジョルジュ・サンドとの生活がうまくいかないことなどの悩みは相当持っていたと思います。例えば、バラードの3番 などには葛藤が表れていたと思います。同じバラードでも4番になると、自身の生きることに対する希望を捨てる直前の苦悩のようなものが表れていると思いますし、それ以降の後期の作品になると、どちらかといえばだんだん 自分の境遇を受け入れて天国へ近づいてゆく作品であると思います。
Q31 好きなピアニストは誰ですか?
A31 自分がピアニストという職業に携わっていると、他の人の演奏を好き嫌いで聴くことはあまりありませんが、 かつてのピアニストでは、リパッティやミケランジェリなどが好きで昔よく聴きました。
Q30 横山さんは曲は全て暗記しているのですか?たくさん演奏会があって、その度曲が違うでしょう。
私は初見に時間がかかりすぎて疲れてしまい、集中できません。
初見のコツや暗記の仕方とかがあったら教えてください。
A30 暗譜をするとゆうことは、その作品を自分の中で充分に消化するということで、僕にとっては覚えることより、 覚えたことを間違えずに最後まで弾き通すことの方がずっと難しいことです。
初見のコツは、簡単にいうとどれだけたくさんの音を大きなまとまりとして感じとれるかということです。
その際、指使いの研究・ハーモニー等の幅広い知識が大いに助けになります。
Q29 楽譜の版によって曲の解釈は異なっていますが、部分部分で参考にする解釈の版を変えていいのでしょうか?
A29 大事なことは楽譜通りに弾くことではなく、楽譜から作曲者の言いたかったことを感じ取ることです。
従って、1種類の楽譜で曲の最後まで通さなければならないことは全くありませんし、どの楽譜をどう合わせて参考にするのかは、作品ごとに異なってきます。
Q28 ホールによって音響も違うとは思いますが、気に入ったホールがあったら教えてくださ
い。 また、聴衆の雰囲気までも気に入ったホールがあったら教えてください。
A28 音響と楽器の両方から気に入ったホールを録音に使っています。
例えば、岩井市民音楽ホールや那須野が原ハーモニーホール などは素晴らしいと思います。
トータルではやはり、東京サントリーホールの持つ雰囲気は独特で、他には無い世界一流のステータスを感じます。
一番やりやすいのは、どこのホールかと言うことに限らず、良く知ったお客様がたくさん来てくれた時です。
Q27 ピアノを買い換えようと思っています。ピアノ選びのポイントを 横山さんの視点からいくつかアドヴァイスをお願いします。
A27 ピアノをどういうふうに使うのかによっていろいろ選び方もかわってくると 思いますし、値段もそれこそいろいろなので一概にいえませんが、 まずはピアノを置く部屋の温度と湿度に気を使ってあげると、どんな楽器でも ある程度は良い状態を保てるはずです。
選ぶ点からは、やはりあまり安いものは何か理由があるでしょうし、調律や アフターケアも含めて、信頼できる人を探す事がまず第一なのではないかと思います。
そうした事を考慮の上、使い始めれば楽器にも愛着がわいてくるものです。
Q26 ステージに上がる直前何を考えていますか。 緊張しすぎないために何か特別な事をしていますか?
A26 だいたい30秒ぐらいあれば集中できるので、 それまではスタッフと打ち合わせをしたり雑談したりと特に何も考えていない事が多いです。 緊張しすぎないために…?結局は特別な事をするというより 練習する事。そしていざステージに上がる時にはある程度割り切って、 うまくいかないかもしれないとか、間違ったら恥ずかしいとか、そういう 余計な事を考えない、もしくは感じないようにすることだと思います。